【2018春版】TVドラマをできるだけたくさん見て感想を書くブログ

脚本家目線で2018年春のTVドラマをできるだけたくさん見て感想をまとめます!

Missデビル①(2018/4/14放送):会社は学校じゃないんだよ問題

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斉藤博史は志望していた共亜火災保険に入社でき、希望に満ち溢れていた。しかし、その希望は新入社員研修で打ち砕かれる。研修を担当した人事コンサルタントの椿眞子は、新入社員たちに退職届を書かせると、「50人の新入社員を10人まで減らす」と宣言し、新入社員たちに過酷且つ理不尽な課題を施す。(Wikipediaより)

 

・・・この見終わった後の徒労感。開始5分で「あ、俺は今から60分間、ただこのブログため以外一切の意味を持たない時間を過ごす事になるぜっ!」と確信した。今のところ今期ワーストのドラマです。これがプロの仕事ってんだから残念極まりない。ただ一つだけ収穫があった(と無理にこじつける)とすれば、今だに小劇場のクソ舞台が減らないのはこういうドラマが存在するからか、と発見できたことですかね。詳細は後述します。とはいえ西田敏行さんの演技が見られるのは嬉しいということも一言添えておきます。どんな低レベルな作品でもやっぱり西田さんは素敵なんですね。

 

 


第1回の総評・・・★☆☆☆☆☆


1. クソ舞台が減らない理由がわかった

仕事柄、小劇場の芝居をちょこちょこ見に行くが、次の条件が揃った舞台はほぼ地雷と言って間違いない。

 

 ①あまり有名ではないアイドルが主演or準主演
 ②他のキャストも若者が中心だが2人くらい年長者がいる
 ③チケット代が4500円以上

 

ね、危険な匂いがしますでしょう・・・?
で、こういう舞台は大概、まずテンションが最初からやたらと高い。「ひどいじゃないか!」に類する台詞が頻発する。周りを振り回す主人公はちょい天然気味。観客席を見渡すと腐女子っぽい子がちらほら・・・。ね、地雷が主張し過ぎて火薬の香りまで漂ってきますでしょう・・・?

 

結論から言いますと「Missデビル」みたいなドラマが地上波で放映されているから、そういうゴミ舞台が減らないんだと分かりました。だって、地上波で放送=プロが作っている=プロが認めている=私たちもこれを作ろう!爆笑感動間違いなしだぜ!という思考回路になりますものね。

あんまり舞台に携わっている方々を敵に回すようなことを言っても損にしかならないのでここでやめますが、僕は愚痴ってるのではなくて、日本の舞台芸術の向上のために、勇気を出してこの文章を綴っているのです。


嘘です愚痴です

あの舞台とあの舞台とあの舞台には今でも「金返せ」と思っています。

でもそれもこれも・・・こんなドラマが蔓延っているせいなんだね!


2. 早々に退散するマルフォイ:「いつまで学生のつもりなんだ!」と脚本家に言いたい

このドラマの最大の欠点はですね、学園ドラマのノリを、企業のドラマにそのまんま持ち込んでいるところだと思います。
学校での新入生いびりならいざ知らず、新入社員たちにボロボロになるまで走らせたり、穴を掘ってまた埋めさせたり、「誰がこの会社に必要ないか」って紙で投票させたり、全部学生のノリ。だから菜々緒さんが厳しいことやればやるほど、リアリティの無さも相まって、どんどんドラマとしての真剣味がなくなっていく訳です。

 

リアリティに関しては、このドラマに関しては何も言いません。パワハラ新人研修を誰かがスマホで撮影して拡散したら会社終わりやんけとか新入社員の子の自殺が成功してたら会社終わりやんけとか自主退職させるのにネイビーシールズ的なしごき方をする非効率さとか会社の業績悪化により新入社員を削減したいクセにしごき要員のムキムキ外国人を雇う予算はあるんかいとか、何も言いません

 あ、でもこれだけは言いたいんだけども、
ムキムキの外国人のああいうステレオタイプ的な使い方をするやつは、本当クソ!脚本なのか演出なのか知らんけど、マジでクソ!ここはちょっと本気で怒っています。どんだけ感覚遅れてんだよって話。

 

で、このセクションのタイトルでも示唆してますが、「ハリーポッターっぽいわー」と思いながら見てたんですね。「ハリーポッターと足長コンサル」、みたいな。主人公の新入社員くんがポッターで、ちゃんとマルフォイ的なやつがいるんですよ。社長とか会長もダンブルドアっぽいし。もちろんハーマイオニーもいる。もちろん菜々緒さんは我らがスネイプ先生です!

 

ちなみにマルフォイはこの回で早々にこの会社を去る事になります。役名はマルフォイじゃないけどね。でもいちいち覚えてられないのでもうマルフォイでいいです。マルフォイは他の子をいじめ過ぎてやめさせられちゃいました。かわいそうなマルフォイ。ああ、マルフォイ。

 

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3. お父さんとの電話のやりとりの台詞の薄っぺらさ

地獄の研修(笑)から一人暮らしの自宅に帰ってきた主人公は、父親と電話で話す。

 

父「どうだ、研修うまくいってるか?」
主人公「・・・まあ、楽勝って感じ」
父「そうか、楽勝か。お前は小さい頃からマイペースなんだから、無理するなよ」

 

この絶妙な薄っぺらさよ。


まず電話の一言目が「どうだ、研修うまくいってるか?」という、何というか、脚本家が言ってほしい事だけ言ってる感。「今話せるか?」とか「もう家か?」とか「飯は食ったのか」とか全て、そういった全てをすっ飛ばして本題へひとっ飛びだぜ

「研修うまくいってるか?」!!

 

そして更に「お前は小さい頃からマイペースなんだから、無理するなよ」。いやいやあんたが無理しとるがな、そんなワザとらしい台詞。「無理するなよ、お前マイペースなんだから、小さい頃から」と語順入れ替えるだけでだいぶマシになるのに、それさえしない脚本家の怠慢。

練られていない台詞とか会話とかっていうのは、かなりバレます。自戒も込めて、きちんと一つ一つ大事にしなきゃなと。
特にこのシーンは初めて主人公のプライベートが映し出される大事なシーンなので、めちゃめちゃ目立ちました。雑っ!


4. これを「面白い」という人は「セッション」を見てぶったまげるべき

本当かよと思ったのですが、このドラマを「面白い」という人も一定数いるようで。好き好きですからそれはいいんですけど。で、「怖い」っていう感想もあるそうなんですね。菜々緒さんが怖いということなんでしょうか。


で、是非ともですね、この「Missデビル」という作品を「面白かった」「怖かった」と感じられる方々にはですね、デミアン・チャゼルの「セッション」をご覧いただきたいんですね。如何にあの菜々緒さんの鞭ピシッ!が(ギャグだとしても)演出として雑なのか分かると思いますし、「悪魔」を演じるにはただクールに振舞っときゃいいわけじゃないって事も感じられると思いますし。

 

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まあ「セッション」は広い意味では学園ものなので、企業が舞台の「Missデビル」がそのまま踏襲すると先に述べたように成立はしなくなるんですが、興奮の度合いの比較というところで是非。

 

と散々悪口を書いてしまいましたが、「できるだけたくさん見る」とブログのタイトルでも謳っているので、最後まで見ようと思います。